『ブルー・オーシャン・シフト』競争だらけの海から抜け出し、新たな市場を創る実践ガイド

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Conclusion
この記事の結論・要点
  • 血みどろの「競争」を避け、誰もいない「新しい市場」を自ら創り出す
  • 画期的なアイデアよりも、体系的な「ツール」と「プロセス」がカギ
  • 変革への不安を取り除く「人間らしさ」への配慮が成功を左右する
  • 業界の常識を疑い、「4つのアクション」で新たな価値をデザインする

毎日の業務、本当にお疲れ様です。 ふと立ち止まると、「今の仕事のやり方、このままで本当にいいのかな」と考える瞬間はありませんか?

競合他社との差別化に悩み、他社より少しでも安く、少しでも機能を多くと頭を抱える。 特に、中小企業の現場で働く方や、新規事業を任された管理職の方であれば、痛いほど共感できる悩みかもしれません。

ですが、 今日ご紹介するW・チャン・キムとレネ・モボルニュによる著書『ブルー・オーシャン・シフト』は、そんな私たちの常識を根底から覆し、新しい景色を見せてくれます。

この本は、単なる夢物語や一部の天才だけができる魔法のビジネス戦略ではありません。 明日からの視界がパッと開けるような、少し刺激的で、とても実務的なお話をさせてください。

競争という名の「レッド・オーシャン」からの脱出

ビジネスといえば「競争」が当たり前。 そう信じて疑わない方も多いかもしれません。

限られた顧客を奪い合い、価格競争に陥り、利益がどんどん削られていく。 著者はこのような、血みどろの競争が繰り広げられる既存の市場を「レッド・オーシャン」と呼んでいます。

一方で、 まだ誰も手をつけていない、あるいは誰も気づいていない広大な新しい市場空間。 それが「ブルー・オーシャン」です。

前作の名著『ブルー・オーシャン戦略』でこの概念を知った方もいるかもしれません。 しかし、「概念はわかったけれど、じゃあ具体的にどうやって自社をそこへ導けばいいの?」と戸惑う声も多かったようです。

そこで生まれたのが本書です。 本書は、組織をレッド・オーシャンからブルー・オーシャンへと移行させるための、より実践的な「実行プロセス」に焦点を当てています。

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あらゆる規模の組織が、自信を持って新たな成長機会を掴むための、体系的なアプローチがぎっしりと詰まっています。 もう、ライバルと同じ土俵で無理に戦う必要はありません。

競争しなくていいなんて、なんだか肩の荷が下りる気がしますね!
😊
新たな価値を創る「バリュー・イノベーション」

では、どうすれば誰もいない海を見つけることができるのでしょうか。 その一番の核となるのが、「バリュー・イノベーション」という考え方です。

通常、私たちは「高い価値を提供するには、コストがかかる」と思い込んでいます。 高級レストランなら食材費もサービス料も高くつく、というのは業界の常識ですよね。

ですが、 ブルー・オーシャンを創造するためには、顧客にとっての価値を飛躍的に高めると同時に、コスト構造を劇的に下げるという、一見相反する二つの目標を同時に達成する必要があります。

たとえば、近所のラーメン屋さんを想像してみてください。 他店に対抗してチャーシューを増やしたり、スープの原価を上げたりするのは、単なる競争(レッド・オーシャン)です。

しかし、「一人で集中して食べたい」という隠れたニーズに気づき、接客や内装のコストを極限まで削りつつ、味への没入感という新しい価値を提供したラーメンチェーンがありますよね。 これこそが、業界の常識を打ち破るバリュー・イノベーションの力です。

今のあなたの仕事において、無理にライバルと機能や価格で競い合っていないでしょうか? お客様にとって本当に大切なものを見極め、思い切って不要なものを捨てる勇気が、新しい市場の発見に繋がります。

最大の壁を越えるための「人間らしさ」

本書が、他の多くの経営書や戦略本と決定的に違う点があります。 それは、組織変革における「人間らしさ」の重要性を、信じられないほど深く掘り下げていることです。

どんなに素晴らしい戦略ツールや計画があっても、それを実行するのは「人」です。 これまでのやり方を変える大きなシフト(移行)には、組織内の人々の間に必ず不安や懐疑心が生まれます。

「失敗したらどうしよう」「今の自分の居場所がなくなるかもしれない」 そんな感情を無視して、上から論理だけで押し付けても、人は決して動きません。

これを乗り越えるためには、人々の感情に訴えかけ、自信と意欲を引き出すプロセスが不可欠だと著者は説いています。 ちょっと意外ですよね?

論理的な戦略の裏には、泥臭い人間の感情ケアが必要だということです。 この「人間らしいプロセス」を構築するために、本書では以下の工夫を推奨しています。

まず、大きすぎる目標を細分化し、「これならできそうだ」という小さなステップに落とし込むこと。 次に、答えを教えるのではなく、メンバー自身が市場の現状を実体験を通じて発見できるようにすること。

そして、 一部の経営層だけで決めるのではなく、公正なプロセスで現場の意見を傾聴し、意思決定の理由を明確に説明することです。 この積み重ねが、組織全体に内発的な意欲を生み出します。

シフトを成功に導く「3つのカギ」と「5つのステップ」

ブルー・オーシャン・シフトを成功させるには、思いつきのアイデアではなく、確固たる手順があります。 本書では、具体的な「3つのカギ」が提示されています。

一つ目は、「ブルー・オーシャンの視点」を持つこと。 既存の業界の枠組みや常識にとらわれず、視野を広げて、どこに新しいチャンスがあるのか考え方を根本から改める必要があります。

二つ目は、「市場創造ツールと活用指針」です。 頭の中だけで考えるのではなく、「戦略キャンバス」や「4つのアクション(取り除く、減らす、増やす、創造する)」といった実践的なフレームワークを使います。

三つ目は、先ほどお話しした「人間らしいプロセス」です。 これら3つが揃って初めて、組織は安全に、そして確実に新しい海へと船を出すことができます。

さらに、具体的な行動計画として「5つのステップ」が用意されています。 まずは「準備に取り掛かる」ことから始め、自社がどこにいるのか「現状を知る」ための客観的な分析を行います。

そして、 「目的地を思い描く」ために既存の枠を外して可能性を探求し、「目的地への道筋を見つける」ために新しい価値のカーブを描き出します。 最後に、「戦略を絞り込み、実行に移す」ことで、シフトを完了させます。

このロードマップがあるからこそ、私たちは迷子にならずに進むことができるのです。

良い事例と悪い事例から学ぶ

【良い事例:全く新しい市場の創造】 シルク・ドゥ・ソレイユが、動物の曲芸やスターパフォーマーというサーカスの常識(コスト要因)を「取り除き」、演劇や芸術性を「創造」することで、大人向けの全く新しいエンターテインメント市場を切り開いたケース。

【悪い事例:既存の声に囚われる落とし穴】 既存顧客の要望ばかりを聞き入れ、機能を追加し続けた結果、コストが高止まりし、市場にいる「非顧客(まだ買ってくれていない人)」を無視してしまうケース。差別化と低コストの両立を欠くと、シフトは失敗に終わります。

現場からのよくある疑問(FAQ)

ここで、本書の考え方を実務に取り入れようとする際、よく上がる疑問に少しお答えしておきますね。

Q. 『ブルー・オーシャン戦略』と今回の『シフト』はどう違うの? 前作が「何を(What)」目指すべきかの概念を示したのに対し、本作は「どのように(How)」組織を動かし、実行していくかという具体的な手法に特化しています。 特に、組織の抵抗をどう乗り越えるかという人間心理にフォーカスしている点が最大の違いです。

Q. 導入するには膨大なリソースと期間が必要では? 大規模な投資がすぐに必要なわけではありません。 まずは小さく、メンバーを集めて自社の「現状の戦略キャンバス」を描くワークショップから始めることができます。 いきなり全社を変えるのではなく、パイロットチームで小さな成功体験(ステップ)を踏むことが推奨されています。

あるいは、 経営者やリーダーだけでなく、現場の若手メンバーも巻き込むことで、意外な「業界の常識への疑問」が飛び出し、一気に道が開けることもあります。

大掛かりなシステム導入とかではなく、まずはホワイトボードと付箋があれば始められそうですね!
😊
明日から、自分の仕事でどう使うか

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 ブルー・オーシャンという言葉はスケールが大きく聞こえるかもしれませんが、実は私たちの毎日の仕事にすぐ落とし込めるヒントばかりです。

自社の属する業界の競争環境を冷静に分析し、「あ、今レッド・オーシャンで消耗しているな」と認識できたなら、それが第一歩です。 お客様の「諦めている不満」や「口に出さない未充足のニーズ」を深掘りしてみましょう。

最後に、明日からすぐ試せる具体的なアクションを整理しておきましょう。

明日から試せる3つのアクション

1. 「業界の当たり前」をリストアップして疑う 「うちの業界ではこれが普通だから」と放置している慣習を書き出し、それを「取り除く」か「減らす」ことができないか考えてみる。

2. 競合他社ではなく「非顧客」に目を向ける なぜ、あの人はうちの商品(または業界のサービス)を使ってくれないのか?その「買わない理由」にこそ、新しい価値のヒントが隠れています。

3. チームの「不安」を聞く場を設ける 新しい取り組みを始める際、いきなり目標を掲げるのではなく、「何が不安か」「どうすればできそうか」を公正なプロセスで傾聴し、「人間らしい」対話を心がける。

あなたの仕事の中で、まだ誰も気づいていない新しい価値の種は必ずあります。 疲弊するだけの競争から一歩抜け出し、あなたとあなたのチームにしか創れない、豊かで穏やかなブルー・オーシャンへ向けて、小さな舵を切ってみませんか?

参考資料

ブルー・オーシャン・シフト――新しい競争戦略の教科書|W・チャン・キム/レネ・モボルニュ

・本の長さ 408ページ
・言語 日本語
・出版社 ダイヤモンド社
・発売日 2018/4/19

経営コンサルタント 櫻井
経営コンサルタント 櫻井

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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