物語思考:「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術

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Conclusion
この記事の結論・要点
  • 「やりたいこと」ではなく、10年後の「なりたい状態」から逆算して行動を決める
  • 自分を「物語のキャラクター」として客観視し、挑戦への心理的ハードルを下げる
  • 意志の力に頼らず、理想のキャラクターが自然と動いてしまう「環境」を自ら作る
  • キャリアを一つのブランドと捉え、独自のポジションを築いてビジネスの実務に活かす
  • 目標達成という結果だけでなく、喜怒哀楽のある「プロセス(過程)」そのものを楽しむ

毎日遅くまでのお仕事、本当にお疲れ様です。 ふと帰りの電車の中や、休日の夜に「自分のキャリア、このままで本当にいいのかな」とモヤモヤすることはありませんか?

世の中には「好きなことを仕事にしよう」「情熱を持てることを見つけよう」というメッセージがあふれていますよね。 真面目な人ほど、その言葉を正面から受け止めてしまい、「自分には本当にやりたいことなんてないんじゃないか…」と深く悩んで立ち止まってしまいます。

ですが、 もしその「やりたいこと探し」自体が、あなたの歩みを止めている罠だったとしたらどうでしょう。

今日ご紹介するのは、そんなキャリアの迷子になってしまった私たちの視界をパッと開いてくれる一冊。 けんすう(古川健介)氏の著書『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』です。

この本は、単なるフワッとした自己啓発本ではありません。 あなたの人生を一本の「壮大な物語」として捉え直し、自分自身をプロデュースしていくための、超実践的なハウツーが詰まっています。 さっそく、明日からの働き方が少しだけ軽くなるような、新しい考え方を一緒に見ていきましょう。

自分を「主人公」として客観視してみる

この本の最も面白くて、かつ強力な核となる考え方が「物語思考」です。 それは、自分自身を小説や漫画の主人公(キャラクター)のように、少し離れたところから客観的に見つめ直すというアプローチです。

私たちは、いざ自分のこととなると、どうしても視野が狭くなってしまいます。 「失敗したらどうしよう」「周りから笑われるかもしれない」と、感情やプライドが邪魔をして、新しい一歩を踏み出せなくなるんですよね。

一方で、 映画や漫画を見ているとき、主人公が困難な壁にぶつかったら、あなたはどう思いますか?

「うわあ、絶体絶命だ! でも、ここからどうやって逆転するんだろう!」と、ワクワクしながら応援するはずです。 これを、そっくりそのまま自分自身の人生に応用するのです。

目の前に面倒な仕事や、プレッシャーのかかる課題が現れたとき。 「今の自分というキャラクターなら、次にどんな行動をとるだろう?」「この物語を読者が読んだとき、どう動けば一番面白い展開になるかな?」と考えてみてください。

そうやって自分を「キャラ化」することで、不思議とリスクを恐れずに新しい一歩を踏み出す勇気が湧いてきます。 困難な状況すらも、「おっ、ここから俺の物語が面白くなるぞ!」と前向きなイベントとして変換できるようになるのです。

自分を俯瞰して見るだけで、失敗への恐怖が「面白いストーリーのスパイス」に変わるなんて、気が楽になりませんか?
😊
「やりたいこと」ではなく「なりたい状態」から逆算する

物語思考を実践する上で、最初にやるべき大切なステップがあります。 それが、10年後の自分が「どうなっていたいか」という具体的な未来のイメージを設定することです。

「やりたいこと」を探そうとすると、どうしても今の自分の能力や、過去の経験という狭い枠の中から探してしまいがちです。 そうではなく、頭のブレーキを完全に外して、自由にワクワクするような「なりたい状態」を思い描いてみましょう。

たとえば、「年収はこれくらいで、海の近くの静かな街に住んでいて、週に3日はリモートワークで、休日は趣味に没頭している状態」といった具合です。 スーパーに買い物に行く前に「今日の夕飯(なりたい状態)」を決めてから「買うべき食材(行動)」をリストアップするように、人生もゴールから逆算して行動を決めていきます。

漫画『ONE PIECE』のルフィがブレないのは、「海賊王になる」という明確な「なりたい状態」があるからです。 そのゴールがあるからこそ、誰を仲間にすべきか、どの航路を進むべきかという日々の選択肢が自動的に決まっていきます。

「やりたいこと」がわからなくても全く問題ありません。 あなたがどんな状態であれば幸せを感じるのか、その解像度を極限まで高め、そこから逆算して今日やるべき行動を見つけ出す。 この視点の切り替えが、あなたの行動を驚くほどシンプルにしてくれます。

キャラを動かし、最高の「環境」をデザインする

なりたい状態が決まり、自分のキャラクター設定ができたら、次はそのキャラクターを実際に動かしていく段階に入ります。 ここで重要になるのが、理想の姿をすでに体現している「ロールモデル」を見つけることです。

その人が普段どんな言葉を使い、どんな判断基準で動いているのかを徹底的に観察し、自分もそのキャラクターになりきって振る舞ってみます。 最初は少し照れくさいかもしれませんが、形から入ることで、後から本質が追いついてくることはよくあります。

あるいは、 もっと強力な方法があります。それは、そのキャラクターが自然と活きる「環境」を自ら作り出すことです。

人間の意志の力なんて、実はそれほど強くありません。 ダイエットを決意しても、目の前にケーキがあれば食べてしまうのが人間です。 だからこそ、意志の力に頼るのではなく、目標を達成している人たちが集まるコミュニティに飛び込むなど、環境の力を使うのです。

進学校の生徒が勉強するのは、特別に意志が強いからではなく、「周りがみんな勉強している環境」に身を置いているからです。 あなたがなりたい自分になるためには、どのような人たちと時間を共有し、どんな場所に身を置くべきか。 環境をデザインすることこそが、目標達成への最短ルートになります。

良い事例と悪い事例

【良い事例:環境を変えてキャラを活かす】 自分を「挑戦を恐れないキャラ」と設定し、同じように新規事業や起業を目指す前向きな人が集まるオンラインサロンや勉強会に飛び込み、自然と行動量が増えるケース。

【悪い事例:意志の力だけで変わろうとする】 「明日から本気を出す」と決意するものの、環境も付き合う人間関係も一切変えないため、数日後には元の日常に引き戻されてしまい、また自己嫌悪に陥るケース。

結果だけでなく、物語の「過程(プロセス)」を味わう

この本がとても優しくて温かいのは、「絶対に成功しろ」「何者かになれ」とプレッシャーをかけるのではなく、「物語の過程そのものを楽しもう」と語りかけてくれる点です。

人生は、結果がすべてではありません。 もちろん、目標を達成できれば嬉しいですが、ビジネスもキャリアも、思い通りにいかないことの連続です。

ですが、 たとえ望む結果がすぐに得られなかったとしても、その過程で悩み、もがき、工夫した経験は、あなたの物語を分厚く、魅力的なものにしてくれます。 困難や予期せぬトラブルは、読者を惹きつけるための「最高のスパイス」なのです。

けんすうさん自身も、「絶対に起業家になりたい!」と強く願っていたわけではなく、目の前の面白いことに夢中になって行動していたら、結果的に起業家として扱われるようになったと語っています。 未来への不安を抱えるのではなく、予測不能な展開に期待し、今日という一ページを全力で楽しむ。 そんな軽やかな生き方を、物語思考は教えてくれます。

ビジネスやマネジメントの実務への応用

さて、ここまで個人のキャリアのお話をしてきましたが、実はこの「物語思考」は、ビジネスの現場でもめちゃくちゃ強力な武器になります。 特に、中小企業の現場で働く方や、新規事業を任されたリーダー、チームをまとめる管理職の方には、明日からすぐに使える考え方です。

たとえば、自社の製品やサービスが、競合他社との厳しい価格競争に巻き込まれて疲弊しているとしましょう。 ここで、自社を一つの「キャラクター」として客観視してみます。

「うちの会社は、どんな物語をお客様に届けているだろうか?」 「このキャラクター(自社)が一番輝くためには、どんな独自のポジションをとればいいだろうか?」

ただ機能や安さをアピールするのではなく、企業としての「なりたい状態(ビジョン)」から逆算し、他社には真似できない圧倒的な差別化を図るのです。 組織マネジメントにおいても同じです。 部下を管理するのではなく、部下一人ひとりの「キャラクター」と「10年後のなりたい状態」をヒアリングし、彼らが最も輝ける舞台(プロジェクトや役割)を用意してあげる。 これが、現代の管理職に求められる最高のサポートではないでしょうか。

マーケティングの視点でキャリアを深掘りする(FAQ)

ここで少し視点を広げて、ビジネスの王道である「マーケティングの法則」を、個人のキャリア設計にどう応用できるか、よくある疑問と一緒にお答えします。 実は、物語思考で作るキャラクター設定は、マーケティング戦略そのものなのです。

Q. 自分の「強み」がたくさんあって、どれを軸にするか迷ってしまいます。 A. ここで大切なのが「集中の法則」です。 すべてを平均的にこなせる人よりも、何か一つに特化した人の方が、他者の記憶(知覚)に残りやすくなります。 あれもこれもと欲張るのではなく、一番自分のキャラクターに合う武器を見つけたら、他の選択肢を犠牲にしてでも、そこに一点集中してみてください。

Q. どうすれば社内や転職市場で評価されますか? A. 自分自身を一つの「製品」や「ブランド」と見立ててみましょう。 優秀な人がひしめき合うレッドオーシャン(激戦の市場)で正面から競合と戦うのではなく、自分が輝ける独自のポジションを見つけることが重要です。 無駄な対立や競争を避け、特定のニッチな領域で独占的な価値を提供すること。 短期的な評価(個人の売上や成績)に一喜一憂するのではなく、長期的な成功を見据えた戦略を描くことが、本当の意味でのキャリアアップに繋がります。

キャリア作りって、自分という商品を世の中にどう届けるかという「マーケティング」と同じなんですね!
😊
明日から自分の物語を動かすための3つのステップ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 『物語思考』は、私たちが無意識に背負い込んでいる「こうあるべき」という重い荷物をそっと降ろし、もっと自由に、もっと楽しく生きるためのコンパスになってくれます。

最後に、あなたが明日からすぐに自分の物語を動かし始めるための、具体的なアクションプランをまとめました。

明日から試せる3つのアクション

1. 頭のブレーキを外して「10年後の理想」を書き出す 今の実力や年齢は一切無視して、カフェや静かな場所で「最高にワクワクする10年後の自分」をノートに書き殴ってみましょう。

2. 理想の自分にふさわしい「小さな行動」を一つだけやる 「10年後の自分なら、今日の会議でどう発言するだろう?」と想像し、明日、一つだけいつもと違う選択をしてみてください。

3. 今いる「環境」を少しだけ変えてみる 通勤中に聞く音声コンテンツを変える、気になるオンラインサロンに入ってみる、会いたい人に連絡をとるなど、キャラクターが活きる新しい環境に触れてみましょう。

あなたの人生の主人公は、他の誰でもないあなた自身です。 「やりたいこと」が見つからなくても焦る必要は全くありません。 まずは、あなたが最高にワクワクする「なりたい状態」を描き、自分だけの面白い物語を、今日から少しずつデザインしていきませんか?

参考資料

物語思考――「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術|けんすう(古川健介)

・本の長さ 241ページ
・言語 日本語
・出版社 幻冬舎
・発売日 2023/9/6

経営コンサルタント 櫻井
経営コンサルタント 櫻井

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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