「モノを売る」はもう古い?『サブスクリプション』で顧客の成功を収益に変える方法

bizteach
Conclusion
この記事の結論・要点
  • 「モノを売って終わり」のビジネスは限界を迎えつつある
  • 所有から利用(サブスクリプション)への転換が持続的な収益を生む
  • 組織の壁を壊し、顧客中心の「線」の関係を築くことが最大の鍵になる
  • 単なる「定額の分割払い」ではなく、継続的な価値提供が成功を分ける

毎日の業務、本当にお疲れ様です。 ふと立ち止まると、「今のままの売り方で、これからの時代も生き残っていけるのだろうか」と考える瞬間はありませんか?

競合他社との差別化に悩み、少しでも安く、少しでも機能を多くと頭を抱える。 特に、中小企業の現場で働く方や、新規事業を任された管理職の方であれば、痛いほど共感できる悩みかもしれません。

ですが、 今日ご紹介するティエン・ツォ氏の著書『サブスクリプション(Subscribed)』は、そんな私たちのビジネスの常識を根底から覆してくれます。

この本は、単なるシリコンバレーのIT企業だけのお話ではありません。 明日からの視界がパッと開けるような、少し刺激的で、とても実務的なお話をさせてください。

「所有」から「利用」へ。ビジネスの波が変わった

まず、この本が最も強く訴えかけているのは、世の中の価値観が大きくシフトしているという事実です。 それは、「モノを所有する」ことから「サービスを利用する」ことへの変化です。

たとえば、少し昔の音楽の聴き方を思い出してみてください。 お気に入りのMr.ChildrenやB’z、あるいはKing Gnuの楽曲を聴くために、私たちはわざわざCDショップに足を運び、何千円も払ってアルバムという「モノ」を買っていましたよね。

一方で、 今はどうでしょう。スマートフォンを開けば、毎月決まった料金を支払うだけで、数千万曲にいつでもアクセスできます。 CDを「所有」しなくても、音楽を楽しむという「体験」は十分に得られるのです。

お客様が本当に求めているのは、ドリルという「モノ」ではなく、壁に開いた「穴」である。 この有名なマーケティングの格言が、今まさに、あらゆる業界で現実のものとなっています。

車、洋服、さらには毎日の食事に至るまで。 企業はもはや「大ヒット商品を開発して売り切る」という古いビジネスモデルでは、立ち行かなくなってきているのです。

顧客との関係は「点」ではなく「線」になる

では、モノを売らない時代に、私たちはどうやってビジネスを組み立てればいいのでしょうか。 その答えが、顧客中心主義への全面的な転換です。

従来のビジネスは、商品をお客様に買ってもらった瞬間、つまり「レジでお金を払った瞬間」がピークでした。 取引は一度きりの「点」で終わり、また次のお客様を探す旅に出なければなりません。

ですが、 サブスクリプションの世界では、契約した瞬間は「スタート地点」に過ぎません。 そこから長く続く「線」の関係が始まるのです。

お客様がそのサービスを日々どのように使い、どんなところでつまずいているのか。 得られたデータからニーズを深く理解し、常にサービスをアップデートし続ける必要があります。

なぜなら、顧客の成功こそが、企業の成功に直結するからです。 お客様が「このサービスを使ってよかった」「自分の課題が解決した」と感じ続けてくれなければ、翌月にはすぐに解約されてしまいます。

売って終わりじゃないなら、毎日のフォローや改善がずっと続くってことですね。なんだか少し大変そう…。
😊

おっしゃる通り、最初は戸惑うかもしれません。 しかし、長くお付き合いするからこそ、毎月安定した収益基盤を作ることができるのです。

会社の数字と組織のあり方が根本から変わる

この新しいモデルを導入するにあたって、会社が評価する「数字」も大きく変わります。 これまでのように、「今月はいくら売れたか」という単発の売上だけを見ていてはいけません。

ここで登場するのが、ARR(年間経常収益)という考え方です。 これは、お客様が1年間でどれだけ安定して定額のお金を支払い続けてくれるかを示す、予測可能な数字のことです。

毎月の売上がゼロからリセットされる不安から解放され、来月、再来月の売上が予測できる。 これほど、経営者や現場の人間にとって心強いことはありませんよね。

そしてもう一つ、絶対に目を背けてはいけない数字が「チャーン率(解約率)」です。 どんなに新規のお客様を獲得しても、それ以上のペースで解約されてしまえば、ビジネスはあっという間に沈んでしまいます。

これを防ぐためには、会社の中の「壁」を壊さなければなりません。 営業は売るだけ、開発は作るだけ、サポートはクレームを聞くだけ。 そんなバラバラのサイロ型組織では、お客様をトータルで幸せにすることはできないのです。

すべての部署が「お客様の成功」という一つのゴールに向かって、連携して動く。 この組織文化の改革こそが、実はシステムを入れるよりもはるかに必要で、かつ難しいポイントになります。

成功している企業は、一体何をしているのか?

少し話が大きくなってきたので、具体的な企業の事例を見てみましょう。 私たちがよく知っている企業も、実はこのパラダイムシフトを巧みに乗りこなしています。

良い事例と悪い事例

【良い事例:価値を進化させ続ける】 Adobe(アドビ)は、かつて数万円のソフトを箱入りで販売していました。しかし、それを月額制のクラウドサービス(Creative Cloud)に切り替えました。お客様は常に最新の機能を使え、Adobeは安定したARRを獲得。まさに大成功のモデルです。

【悪い事例:ただの分割払いの罠】 単に高額な商品を「月々〇円で買えますよ」と分割払いにしただけのモデル。ここには「継続的な価値の提供」がありません。お客様は支払いが終われば離れていき、少しでも安い競合が現れればすぐに乗り換えられてしまいます。

成功している企業に共通しているのは、「ただの定額課金」にはしていないという点です。 お客様の声を聴き、データを分析し、毎日のようにサービスを少しずつ良くしています。

NetflixがDVDの郵送レンタルから始まり、今では世界中で愛されるオリジナル映画を作るようになったのも、お客様の「面白いエンタメが見たい」という本質的なニーズに応え続けた結果です。

失敗しないための「カスタマーサクセス」という考え方

一方で、 「よし、うちも今日から定額制サービスを始めよう!」と意気込んでスタートしたものの、半年で頓挫してしまう企業も少なくありません。 その最大の理由が、導入後のフォロー不足です。

契約してもらったことに満足してしまい、お客様がそのサービスをちゃんと使いこなせているか放置してしまう。 これでは、すぐにお客様は「お金の無駄だ」と気づいて離れていきます。

そこで重要になるのが、カスタマーサクセスという専門チームの存在です。 お客様からの質問を待つ「カスタマーサポート」とは違い、こちらから先回りしてお客様が成果を出せるように導いていく役割です。

たとえば、新しいITツールを導入してくれたお客様に対して、「最初の1週間は一緒に初期設定をやりましょう」「こんな機能を使うと業務が楽になりますよ」と伴走する。 この地道な努力が、結果的に解約を防ぎ、長期的な収益へと繋がっていくのです。

釣った魚にエサをやらないのはNGなんですね。常にお客様のパートナーでいる姿勢が大切だと分かりました!
😊
価格は「コスト」ではなく「価値」で決める

新しいビジネスを考えるとき、一番悩むのが「いくらに設定するか」ですよね。 従来は、「材料費がこれくらいで、人件費がこれくらいだから、利益を乗せてこの価格」という決め方が一般的でした。

しかし、サブスクリプションのサブスクリプションにおいては、その常識も捨ててください。 価格は、お客様が得られる「成果」に対して設定するべきだからです。

お客様がそのサービスを使うことで、どれだけの時間を節約できるのか。 どれだけの売上アップに貢献できるのか。 その「価値」に見合った料金プランを、松・竹・梅のように複数用意して選んでいただく。

もし、お客様がビジネスで成長し、より多くの機能や容量が必要になれば、自然と上位プランへとアップグレードしてくれます。 これをアップセルと呼びますが、既存のお客様が自発的にお支払いを増やしてくれる仕組みを作ることが、ビジネスを大きく活用・成長させるための最強のエンジンになります。

明日から、自分の仕事でどう使うか

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 「大企業の事例ばかりで、うちみたいな中小企業には関係ないよ」と思われた方もいるかもしれません。

ですが、 この「お客様と長く付き合い、継続的な価値を提供する」という本質は、どんな規模の会社でも、どんな業種でも必ず応用できます。 最後に、明日からすぐ試せる具体的なアクションを整理しておきましょう。

明日から試せる3つのアクション

1. お客様との接点を「線」で洗い出す 商品を納品して終わりではなく、その1ヶ月後、半年後にお客様がどんな悩みを抱えているか、紙に書き出してみる。

2. 「売り切り」を「サービス化」できないか妄想する 自社の製品に、定期メンテナンスやコンサルティングをセットにして、月額数千円で提供できないか、アイデアを出してみる。

3. 部署間のコミュニケーションを一つ増やす 営業担当者と開発(または製造)担当者が、お客様のリアルな声を共有する15分の立ち話の時間を設けてみる。

私たちは、つい目の前の「モノ」の性能ばかりに気を取られてしまいます。 しかし、本当にお客様が見ているのは、その先にある自分の明るい未来です。

あなたの会社にしかできない独自の価値を提供し続けること。 単なる商品の提供者から、お客様の人生やビジネスを支える「成功パートナー」へと進化すること。

少しずつで構いません。 明日の仕事から、お客様との長い長い「線」を描き始めてみませんか?

参考資料

サブスクリプション(Subscribed)――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル|ティエン・ツォ/ゲイブ・ワイザート

・本の長さ 360ページ
・言語 日本語
・出版社 ダイヤモンド社
・発売日 2018/10/25

経営コンサルタント 櫻井
経営コンサルタント 櫻井

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この本の他にも、「仕事で使えるビジネス名著・実践レビュー」には、あなたのビジネスのヒントになる名著を揃えています。今の悩みに効く一冊をぜひ探してみてください。

また、より具体的に「組織における、集客・採用・教育の悩みを、WebやAIの力で解決したい!」とお考えの方は、これより先のサービス紹介もぜひご覧ください。貴社の成長を加速させる「実践」へと変えるお手伝いをさせていただきます。

お気軽にどうぞ

お仕事の相談

相談は無料
Googleフォームからお願いします

お得な情報

導入相談LINE

クーポン配布
各サービスの
特典など

無料相談(Googleフォーム)
記事URLをコピーしました